今回ご紹介する「鳥」にちなんだ本は、「地下の鳩」です。タイトルに「鳩」が入っていて、ピース又吉さんが帯でコメントを書いていたのを見て購入しました。。
この本の主な主人公は3人います。
キャバレーの客引きをする吉田とスナックの素人臭いチーママみさを、そしてオカマバーの名物ママであるミミィ。
大阪のミナミでの夜の街で潜む男女のお話です。
1977年テヘラン生まれ、カイロ・大阪育ち。2004年「あおい」でデビュー。2015年の「サラバ!」で第152回直木賞を受賞の作家さんです。
2013年には宮崎あおいさんと向井理さんの主演で映画化した小説「きいろいぞう」が有名かもしれません。
テヘラン生まれのカイロ・大阪育ちというのも珍しい経歴をお持ちで、気になりますね!
舞台は大阪のミナミ。夜の街で生きる40代の男・吉田がみさをと出会い、恋に落ちる…とここまでの流れならなんだか素敵な恋物語かしら?となります。が、それぞれの人間くさい悩みや説明のつかない事態となった過去など、夜の街で働く理由があるようなないような…。そんなお話です笑
吉田は40代のおじさんで客引きをする身なのにプライドが高く、自分を棚に上げて夜の街で働く人たちを見下しています。そんな中で出会った新米チーママのみさを。左右の目が驚くくらい大きさの違う顔が特徴的と表現されており、一目惚れをしてしまいます。その後、結局は付き合うような間柄になるのですが、そこに行き着くまでの流れがキラキラするような展開ではなく、人生の流れに身を任せているうちに…というあまりにも起承転結のない「人間臭さ」のあるお話です。
大きく「吉田とみさを」の話と「おかまのミミィ」の話に分けられます。暗い過去やトラウマの描写があり、全体的に暗いイメージのままお話が進むのですが、飽きてしまったりはしませんでした。
タイトルに「鳩」が入っているのですが、ほとんど鳥は登場しませんでした笑
冒頭で吉田が電車に乗る際に見かける「鳩」の描写以降は、特に鳩は出てこず、あくまで中心は吉田・みさを・ミミィたちの生活模様でした。
鳥好きにとってそこは期待外れではありましたが、ピースの又吉さんが賞賛されているようにこの「人間臭さ」がおもしろいポイントだと思います。
普通の恋愛小説に飽きている人、ハラハラドキドキする小説はもうおなかいっぱいです。という方におすすめの本です。私は読んでみて、人っていろいろあるよなぁと考えさせられました。